徳島は「やればできる子」、もっと自信を持て!

多良布久の大将に、以前カウンターで話したネタを頼まれたので、忘れないうちに書いておく。

影の薄い徳島

「四国4県の中で、一番好きな県はドコですか?」と訊かれれば、俺は迷わず「徳島」と答える。
それは、判官贔屓に近い。
いいところがたくさんある徳島なのに、四国4県の中で比較的印象が薄いのが徳島。
くまなく歩いて徳島の良さを知っているから、応援してあげたくなる。

高知は美人が多く、愛媛は名城が多く、香川はうどんが美味い。
じゃぁ徳島って何が有名なの? みんなそう思ってる。

名所なら、鳴門・祖谷・薬王寺・酷道439号。
食べ物なら、すだち・徳島ラーメン・鱧・和三盆。
イベントなら、阿波踊り・人形浄瑠璃・マチ★アソビ。

では、なぜこんなに影が薄いのだろう?

徳島の名物を知らない徳島人

遍路で四国各地を巡ると、出会った地元の人に名物を聞く。
土佐人なら旨い居酒屋を、伊予人なら旨いじゃこ天の店を、讃岐人なら旨いうどん屋を教えてくれる。
でも、阿波人がまともに答えられた試しがない。

「どこのラーメン屋がオススメ?」
「うまい魚を出す居酒屋教えて」
「鳴門金時を使ったスイートポテトってドコで買える?」
「和三盆を使った和菓子がほしいんだけど」

これらの質問に答えられる徳島人に、俺はまだ会ったことがない。
徳島人に聞くくらいなら、ネットで検索したほうが早い。

以下、Gigazine一番難しいのは「生き残ること」、大塚明夫が「声優」という職業を語る より。

高橋:
~ 引用略 ~
初めての徳島ということで、お楽しみいただければうれしいのですが、今晩食べたいものはなんですか?」っていう質問です。何か今晩、徳島のもので味わってみたいものはありますか?

大塚:
おいしいもの?(笑)うーん。ラーメンは明日にしようかという感じでね。徳島っていうのは、基本食べ物ってなんなの?

客1:
鳥。

客2:
魚。

大塚:
食べ物って言ったんだよ……。

客3:
阿波尾鶏。

大塚:
ああ、知ってる知ってる。阿波の鳥でしょ?魚と鳥か。そうか。じゃあ、焼き鳥?そんな感じがいいんじゃないですか。

高橋:
是非ね、そんな感じで徳島を満喫していただいて。

徳島人にアバウトな名物の質問をしたら、マジでこんな感じだから…
内気なアニオタだから、こんな受け答えってわけじゃないんだよ…

徳島は自慢することがないと思っている徳島人

ここに、面白いデータがある。「都道府県出身者による郷土愛ランキング」。

四国4県のうち、高知がダントツで愛着・自慢が高い。福岡とほぼ同じくらい。
これは、高知人とたくさん話してきた者にとっては納得できる数値だ。
龍馬や長宗我部を愛していて、酒と話と女が好きで、でも、仕事がなくて賭け事が好きで。
イイ面もワルい面も全部ひっくるめて、高知人は高知を愛し、自慢している。

でも、徳島人は徳島に自慢がない。愛着はそれなりにあるのに、自慢が格段に低い。
対岸の大阪や神戸といった大都市と比べてしまうから?
東京と隣接する埼玉、愛知と隣接する岐阜と同じような傾向だ。
でも、愛着度と比較してあまりにも低すぎる。

徳島人が徳島に自信を持つようにするには

どうして徳島人は郷里に自信を持てないのか?
阿南で獲れた鱧は京名物となり、美馬で獲れた野沢菜は信州名物となり、すだちは添え物だから?
ぜひ、徳島人は自らの手で原因究明してほしい。

俺が感じている原因の一つのは、徳島の観光アピール度の低さ。

今年2年半ぶりに訪れた高知は、龍馬伝が終わったというのに相変わらず観光PRがすごかった。
リピーター向け観光パスポートに、高知駅前にデカい維新の志士像(龍馬・慎太郎・半平太)を新設。
観光案内所・道の駅では多種多様なパンフレット。これらは、当然地元の高知人も目にすることになる。

愛媛なら『坂の上の雲』で文学の街。香川ならうどん県。
でも、徳島の観光アピールは全然伝わってこない。
県外に伝わっていないという意味でなく、徳島にいても徳島のウリがわからないのだ。
これだと、地元の人も徳島のウリが何なのか気付きにくい気がする。
ぜひ、徳島県は観光アピールを在り方を再考してほしい。

他県の人間ができることは、徳島人が気づいていない徳島の良さを褒めてやり、自信をつけさせることくらいか。
ぼうぜの姿寿司・蕎麦米雑炊・ういろう・豆玉・フィッシュカツ。いいものは、まだまだたくさんあるのだから。
徳島人は褒められれば伸びる子なので、自信が付けばいい結果を残してくれるだろう。

小松大師 (海部郡牟岐町) – [Komatsu Daishi (Kaifu District, Tokushima)]

国道55号:土佐浜街道を西へ進むと、辺川駅への標識がある。ここが小松大師への入り口だ。
看板の消えかかった黒い矢印は逆の方向を向いているが、これは看板を塗り直して再利用したためだろう。
辺川駅入口小松大師入口

10mほど坂を登ると、大師堂があった。
坂を登りきった位置に石碑(もしくは墓?)があるが、文字は消えかかっており読むことはできなかった。
大師堂の隣には集会所のような木造の建物がある。
小松大師石碑

ちょうど、80歳くらいのおじいさんが大師堂の掃除をしていた。
「こんにちは」
声をかけるが、反応なし。耳が遠いようだ。荷物を置いて、大きな声でもう一度挨拶してみる。
「こんにちは。お掃除お疲れ様です」
反応があった。

「いつも、ここお掃除されてるんですか?」
「あぁ、そうじゃね」
「大変ですね。地域で当番とか決まってるんですか?」
「まぁ、そうじゃね」
「今週はおじいさんが当番なんですね」
「いや、月ごと………わし一人になって10年くらい経つけどなぁ………」
切ねぇ………

おじいさんといろいろ話した後、読経・納札した。
俺たち遍路が、こうしてきれいに掃き清められた大師堂で読経できるのも、地元の方々のおかげだ。
この先、おじいさんが亡くなったとき、小松大師はどうなってしまうのだろうか。
おじいさんが、いつまでも元気で長生きできるよう祈った。

大師堂内の由緒書を写真に撮らせていただいた。
由緒書

「ありがとうございました」
おじいさんに深く合掌し、大師堂を後にした。

第4期 区切り打ち遍路の予定

予定は未定ってことで

  1. 新門司港 →[フェリー]→ 津田港 →[バス]→ 徳島駅 →[鉄道]→ 阿波福井駅 → 阿部御水大師 → ゆき荘 約11km
  2. ゆき荘 → 日和佐うみがめ博物館 → 大浜海岸 → 薬王寺薬王寺宿坊・薬師会館 約11km
  3. 薬王寺宿坊・薬師会館 → 泰仙寺 → 打越寺山河内駅 →[鉄道]→ 日和佐駅 → 薬王寺宿坊・薬師会館 約15km
  4. 薬王寺宿坊・薬師会館 → 日和佐駅 →[鉄道]→ 山河内駅 → 小松大師 → 草鞋大師 → 八坂八浜 → 八坂寺(鯖大師)鯖大師遍路会館 約15km
  5. 鯖大師遍路会館 → 古目大師 → 民宿 いくみ 約20km
  6. 民宿 いくみ → 明徳寺(東洋大師) → 佛海庵 → 夫婦岩休憩所(野宿) 約23km
  7. 夫婦岩休憩所 → 八坂神社 → 室戸青年大師像 → 御厨人窟 → 観音窟 → 室戸岬展望台 → 最御崎寺室戸岬最御崎寺遍路センター 約13km
  8. 室戸岬最御崎寺遍路センター → 津照寺 → 四十寺 → 金剛頂寺(宿坊) 約18km
  9. 金剛頂寺 → 不動岩 → 加領大師堂(御霊跡) → 二十三士温泉 約22km
  10. 二十三士温泉 → 田野大師堂 → 八幡宮 → 養心庵跡 → 神峯寺神峯神社 → 地蔵堂 → 千鳥浜公園(野宿) 約17km
  11. 千鳥浜公園 → 波切不動 → 極楽寺高知黒潮ホテル 約28km
  12. 高知黒潮ホテル → 大日寺 → 爪彫薬師堂 → 松本大師堂 → 国分寺岡豊城 → 毘沙門堂 → レインボー北星 約21km
  13. レインボー北星 → 土佐神社善楽寺 → はりまや橋 → 安楽寺高知城山内神社高野寺潮江天満宮眞如寺 → 宮地神社 → 高知駅 →[高速バス]→ 小倉駅 約10km

もしものときの野宿場所

今回は訪問しない場所

  • 日和佐城(休館中)
  • 26番奥之院 池山神社

第一番奥之院 東林院 (種蒔大師) – [Tōrin-in (Tanemaki-Daishi)]

霊山寺前の門前一番街から、タクシーで東林院へ。
とてもお遍路さん慣れした運転手さん。息子さんは、俺と同じく福岡市内に住んでいるそうだ。
楽しく話をしながら、10分ほどで東林院に到着。代金の端数190円を接待していただいた。お礼の納札第一号。

俺以外にお遍路さんはいないようだ。本堂と大師堂で読経・納札し、納経所へ。
納経所には誰もおらず、呼んでもどなたも出てこないので、留守かなと思ったらちょうどご住職が帰ってきた。
俺と同じくらい、30そこそこの若いお坊さんだ。

東林院は四国八十八箇所霊場第一番奥之院であると共に、新四国曼荼羅霊場第一番でもある。
御朱印も、奥の院用と曼荼羅用の2種類あるそうだ。
今回は曼荼羅用の納経帳(2,000円)を新たに購入し、それに曼荼羅の御朱印をいただくことにした。

「福岡からお越しですか?福岡には一度行ったこどがあるんですよ。中洲ってところの近くでラーメン食べましたよ。こんどは水炊きを食べてみたいんですけどねぇ。坊主なのにねw」
年季の入った大きな硯と筆で、丁寧に墨書・御朱印していただいた。
御影札は、曼荼羅用と奥之院用の2枚いただいた。

「お時間ありましたら、ご本尊の薬師如来をご覧になりますか?」
あれ、さっき読経したとき、本尊は愛染明王と札が出ていた気がするが…
よくよく聞いてみると、本来の本堂は大師堂の左隣にある薬師堂だという。
したがって、本尊は薬師如来。勘違いされるお遍路さんも多いそうだ。

かつての本堂は火災で焼失し、現在の薬師堂として小さく建て直されたという。
正面の大きな鉄筋コンクリート製の建物は「法要所」のような位置づけであり、この新本堂の本尊として愛染明王が祭られている。
本尊の薬師如来も、火災から守るためこちらに移されており、実質的な本堂としての役割には変わりないが。

今日は2番の宿坊泊まり。まだ時間はあるし、せっかくなので薬師如来を拝観させて頂く。
とその前に、本来の本堂である薬師堂で手早く読経を済ませてくる。
中央の祭壇に愛染明王。右の祭壇に薬師如来。
薬師如来は重要文化財であり、前面には紫外線を防ぐために遮光パネルが取り付けられている。
正面からだとサングラスを掛けて見ているようだが、右の柱の隙間から見るとよいと住職に教えていただいた。

種蒔大師 本堂(薬師堂)
種蒔大師 大師堂
種蒔大師 弥勒菩薩

四国八十八箇所霊場 第一番奥之院
八葉山 神宮寺 東林院 (種蒔大師)
徳島県鳴門市大麻町大谷山田59
TEL : 088-689-0053